中学数学で学ぶ図形の問題として、三角形の合同条件があります。どのようなとき、三角形の形がまったく同じになるのか学ぶのです。

また三角形の合同条件を学んだあと、必ず学ぶのが合同の証明です。2つの三角形について、合同であることを証明する問題が出されるのです。

数学の問題の中では、証明を不得意としている人は多いです。計算によって明確な数字を答えとして出すわけではなく、文章によって証明しなければいけません。計算とは違って問題の解き方が大きく異なるため、証明問題が難しいと感じるのです。

合同の証明問題は解き方にコツがあります。どのようにして三角形の合同に関する問題を解けばいいのか解説していきます。

合同の定義と記号

数学での合同とは、どのような定義になるのでしょうか。合同とは、形が完全に同じ図形を指します。裏返したときに形が重なる場合についても、合同であるといえます。

図形が合同の場合、線の長さや角度を含めてすべて同一です。例えば、以下の合同な図形があるとします。

この2つの図形は合同なので、BC=EFです。つまり、辺EFの長さは10cmです。同じように考えると、∠C=∠Fです。そのため、∠Cの角度は30°です。辺の長さや角度が分からなかったとしても、合同を証明することで辺や角度を求めることができます。

このとき、合同では≡という記号を使います。先ほどの図形では、△ABC≡△DEFと記します。

なお、合同の記号を利用するときは対応する点を考えましょう。2つの図形を重ね合わせたとき、同じ部分の点同士を対応する点といいます。対応する点は以下のようになっています。

三角形の合同を考えるとき、対応する点の順番を揃えなければいけません。例えば上図の三角形であれば、以下の表記は正しいです。

  • △ABC≡△DEF
  • △ACB≡△DFE

ただ、対応する点が異なると不正解です。例えば、△ABC≡△EFDは不正解です。図形は合同であるものの、対応する点が違うからです。

三角形が合同になる4つの条件

それでは、どのような場合に2つの三角形が合同になるのでしょうか。数学で合同を学ぶとき、合同条件について理解しましょう。合同条件を満たしていれば、2つの三角形は必ず同一であるといえます。

三角形の合同条件には4つ種類があります。以下になります。

  • 3組の辺がそれぞれ等しい
  • 2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい
  • 1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい
  • 2組の角とその間にない1組の辺がそれぞれ等しい

それぞれを詳しくみていくと以下のようになります。

・3組の辺がそれぞれ等しい

3つの辺の長さがすべて等しい場合、2つの三角形は合同だといえます。

・2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい

2つの辺の長さが等しく、かつ2つの辺の間にある角度が等しい場合、2つの三角形は合同です。2つの辺の間にある角度が等しい必要があり、他の角度が同じだとしても、必ずしも三角形が合同とは限りません。

・1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい

一つの辺の長さが等しく、等しい辺の両端にある角度が同じの場合、2つの三角形は合同です。

・2組の角とその間にない1組の辺がそれぞれ等しい

2組の角度が等しく、「2つの角の間ある辺」とは異なる辺の長さが等しい場合、三角形は合同です。

2つの角度が等しいケースについては、「1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい」と同じです。ただ、辺の両端にある角度が等しいのではなく、別の角度が等しいケースであっても三角形は合同です。

なお、日本の教科書ではなぜか「2組の角とその間にない1組の辺がそれぞれ等しい」を合同条件として教えません。そのためテストで点数を取りたい場合、この合同条件は忘れてしまっても問題ありません。

ただ世界で教えられる数学では、合同条件は4つです。3つではありません。本来、合同条件が4つであるほうが正しいため、この事実については理解しておきましょう。

・直角三角形の合同条件もある

なお、実際には他にも合同条件は存在します。ただ、特殊な三角形に適用されます。直角三角形の場合、他にも合同条件があります。直角三角形を含めると、三角形の合同条件は合計で5つです。

ただ直角三角形は特殊な三角形なので、ここでは直角三角形の合同条件は省きます。

合同条件を満たさない場合、どうなるのか

三角形が互いに合同であると証明するためには、三角形の合同条件を満たさなければいけません。もし、先ほど説明した条件を満たさない場合、どうなるのでしょうか。この場合、必ずしも2つの三角形が合同とは限りません。例えば、以下の条件を満たす2つの三角形があるとします。

  • 2つの辺と1つの角度が等しい

ただ、これでは三角形が合同とは限りません。例えば、以下の三角形を描くことができるからです。

2つの辺と1つの角度が等しいのは確実です。ただ、2つの図形は同じではありません。これが、三角形の合同条件を満たしていなければ、2つの図形が合同とはいえない理由です。

重要なのは2種類の合同条件

なお日本で学ぶ数学の場合、三角形の合同条件を使うとき、特に重要なのは以下の2つです。

  • 2組の辺とその間の角がそれぞれ等しい
  • 1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しい

数学で合同の証明をする場合、ほとんどの確率でこの2つのうちどちらか一方を利用することになります。「3組の辺がそれぞれ等しい」ことを記すことで、三角形が合同だと証明することは可能です。ただ、そうした問題が出されることはほとんどありません。

もちろん、3つの辺が等しくなる合同の証明問題が絶対に出ないわけではありません。ただ、三角形の合同条件としては、角度を用いなければいけないケースが多いです。

※本来は「2組の角とその間にない1組の辺がそれぞれ等しい」も重要です。ただ理由は不明ですが、日本ではなぜかこの合同条件を教えないため、先ほど記した2つの合同条件が重要になります。

仮定と結論を用いて証明する

これら三角形の合同条件を理解した後は、2つの三角形が合同であることを証明できるようにしましょう。証明問題を解けるようにする必要があります。

数学の証明問題を解くためには、仮定と結論について理解しなければいけません。仮定というのは、前提条件です。また仮定を設定することで、結論を述べられることは多いです。例えば、以下の場合はどうでしょうか。

  • 仮定:$x>5$
  • 結論:$x>1$

すべての数字が5よりも大きい場合、すべての数字は1よりも大きいといいます。そのため仮定が$x>5$の場合、結論($x>1$)を満たしといえます。これが、仮定と結論です。

ただ場合によっては、仮定だけでは結論を述べられないことがあります。例えば、AB=DEかつAB//DEの以下の図形では、△ABC≡△EDCとなるでしょうか。

この場合、以下のようになります。

  • 仮定:AB=DEかつAB//DE
  • 結論:△ABC≡△EDC

ただ辺ABと辺DEの長さが等しく、かつ平行のとき、△ABC≡△EDCと結論付けても理由を理解できません。そこで仮定が成り立つとき、そのような結論をなぜ言えるのか理由を説明する必要があります。このとき、理由を説明することを数学では証明といいます。

証明するとなると、難しいように思ってしまいます。ただ、結論を述べるための理由付けだと理解すれば分かりやすいです。

数学の計算問題では、問題を解く前は答えが分かりません。一方で証明問題では、答え(結論)が既に分かっています。そこで、結論を述べるために理由を考えるようにしましょう。

三角形の合同を証明する手順

それでは、どのようにして三角形の合同を証明すればいいのでしょうか。数学の証明問題を解くとき、正しい手順があります。以下になります。

  1. 仮定を書きだす
  2. あなたの発見を理由付きで記す
  3. 合同条件を利用して証明する

具体的に一つずつ確認していきましょう。先ほど記した以下の図形があるとします。

AB=DEかつAB//DEの場合、△ABC≡△EDCを証明してみましょう。

・仮定を書きだす

三角形の合同を証明するためには、最初に証明したい図形を記しましょう。その後、仮定を記します。以下のようになります。

  • △ABCと△EDCにおいて
  • AB=DE:仮定より – ①

・あなたの発見を理由付きで記す

次に、三角形が合同であると証明するために必要な理由を記しましょう。例えば、以下のようになります。

  • ∠A=∠E:AB//DEであり、平行線の錯角は等しい – ②
  • ∠B=∠D:AB//DEであり、平行線の錯角は等しい – ③

なお三角形の証明問題を解くコツとしては、問題文より「同じになる角度や線を記すこと」があります。例えば、以下のような場合は確実に同じだと分かります。

  • 共通する線(重なっている線):線の長さが同じ
  • 線の中点:真ん中の点なので、同じ長さの線が2つできる
  • 対頂角:角度が同じ
  • 平行線の同位角:角度が同じ
  • 平行線の錯角:角度が同じ

これらはいくつかの例です。いずれにしても、これら図形の性質を利用することで、同じ長さの線や同じ角度を探していきましょう。

・合同条件を利用して証明する

最後に、仮定と理由をもとに結論を述べましょう。以下のようになります。

  • ①、②、③より、1組の辺とその両端の角がそれぞれ等しいため、△ABC≡△EDC

こうして、△ABC≡△EDCであることを証明できました。

角度の表し方に注意する

なお図形の問題では、角度の表し方に注意しましょう。1つのアルファベットではなく、3つのアルファベットを利用して角度を記すことがよくあるからです。

例えば、以下の図形について角度をどのように表記すればいいでしょうか。

∠Cについては、これまで通りの表記で問題ありません。一方でBの角度はどうでしょうか。∠Bと記すだけでは、どの部分の角度か不明です。角度にいくつもの候補がある場合、アルファベット3つを使って記すようにしましょう。

例えば上図であれば、∠ABDと表記しましょう。∠Bではどの角度か不明です。それに対して、∠ABDであれば、どの角度なのか明確に分かります。

練習問題:三角形の証明問題

Q1. 次の図形を証明しましょう

下の図形について、△ABCは正三角形です。AD=AE、AE//BCのとき、△ABD≡△ACEを証明しましょう。

A1. 解答

  • △ABD≡△ACEにおいて
  • AD=AE:仮定より – ①
  • AB=AC:△ABCは正三角形のため – ②
  • ∠BAD=∠CAE:AE//BCであり、平行線の錯角は等しいので∠CAE=∠ACB。また、△ABCは正三角形なので∠ACB=∠BAD – ③
  • ①、②、③より、2組の辺とその間の角がそれぞれ等しいため、△ABD≡△ACE

三角形の合同条件を覚え、証明問題を解く

計算ではなく、文章にて解答しなければいけないのが三角形の証明問題です。証明問題では、必ず三角形の合同条件を覚えていなければいけません。どのようなとき、合同になるのかすべてのパターンを覚えるようにしましょう。

その後、仮定をもとに合同であることを証明していきます。仮定を利用し、あなたが発見した事実を記すことで、結論を述べるようにしましょう。

証明問題では既に答え(結論)が分かっています。ただ、どの合同条件を利用すればいいのか不明です。そこで図形の性質を利用して、共通する線や角度を探すようにしましょう。そうしてランダムに共通する線または角度を見つけていけば、どこかの時点で三角形の合同条件を満たせるようになります。

これが三角形の合同を証明する方法です。計算問題とは問題の解き方が異なるのが図形の証明問題です。そこで答え方を理解して、三角形の合同の証明を行えるようにしましょう。