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茶道で行われる点前の作法と日本人の性質

 

お茶(抹茶)をたてて飲むための作法を茶道では点前(てまえ)といいます。この点前を覚えることから、茶道は始まります。

 

このときの細かい作法は、茶道の流派によって異なります。ただ、その大筋となる考え方は共通しています。茶道では、どのような場面であっても「相手を想いやる心」が重要視されることを理解すれば、おのずと作法の意味が分かってくるようになります。

 

   

 

 茶碗をどのように扱うのか
あなたが亭主として客を迎えるとき、お茶を出すとします。このときの器は、あなたがずっと大事にしていたものだとします。このとき、招いた客が片手で持ち上げたり、ドンと音を立てて畳の上に置いたりすれば、あなたはどのように感じるでしょうか。

 

いつも大切にしていた器を乱暴に扱われ、嫌な気持ちになるはずです。これによって信頼関係が崩れ、これなら大事な器を使ってお茶を出さなければ良かったと思ってしまいます。

 

一方、名品といわれる器を使ってお茶を出したことに感激してくれ、さらに両手で器をもって大切に扱ってくれたらどうでしょうか。あなたはその人を家に招き、お茶を出してよかったと思うでしょう。

 

こう考えると、茶道の場でお茶を飲むときにどのような立ち振る舞いをすれば良いのか、自然と理解できるようになります。

 

例えば、差し出されたお茶が近くにある場合、それを手に取った後は一度自分の前におきます。ただ、遠くにある場合、そこに座ったまま腕を伸ばして茶碗を取るのは、不安定ですしお茶をこぼすことにも繋がります。

 

そこで、一度立ち上がって茶碗の側まで行き、座ってから器を取ります。このとき、元の場所に戻るときは両手を添えます。

 

茶道を行うとなると、亭主は自分の茶碗を客へ預けることになります。そのため、客は預かった茶碗を大切に扱わなければいけません。相手を思いやる気持ちがあれば、客の立ち振る舞いは自然に決まってきます。これが、茶道で点前を行うときの基本的な考え方です。

 

 茶道のコミュニケーション
茶道では細かい決まりがあるため、これを覚えることに集中しがちです。しかし、そういう作法が正しいかどうかというよりも、コミュニケーションが成立しているかの方が重要であるといえます。

 

ただ、このときは「沈黙」によるコミュニケーションとなります。茶会が進行するとき、必要な音以外は立てない静粛という状態が基本です。下手に言葉を発しないことにより、相手の様子などから心を読み取っていくのです。

 

もちろん、何も音がないわけではありません。静けさの中、お茶の湯を沸かすため、釜から湯がシューシューと音を立てることがあります。庭では水の流れ落ちる音が聞こえることもあります。静粛があるからこそ、こうした音を鮮明に感じ取ることができます。

 

その中で相手が動くときの音など、自然に出る音を聞き、無言のコミュニケーションを実践していきます。つまり、何も言わないまま相手が望んでいることを行わなければいけません。このような茶道の考えは、実は多くの日本人に当てはまる性質でもあります。

 

例えば、欧米では思っていることをそのまま伝えることが良いとされています。実際に言葉を出して自分の感情を伝えなければ、相手に対してダイレクトに伝わりません。

 

一方、日本では「本音と建て前」という考え方が浸透しています。これは、真に思っていること(本音)とは違う行動をとること(建て前)を意味します。

 

例えば、デートをした後に「また、食事に行きましょう」とあなたが誘ったとします。このとき、たとえ相手が「二度と行かない」(本音)と思っていたとしても、「いいですよ」(建て前)と返事をすることはよくあります。その場の雰囲気を重んじて、自分の本心を明らかにはしないのです。

 

日本人は、自分の意見をハッキリとは言わない民族です。その代わり、言葉を発しなくても、相手の雰囲気や様子から判断することに長けている民族であるともいえます。

 

茶道も同様に、前述の通り相手の望むことを考えながら進行していきます。そして、言葉なしにコミュニケーションをしていきます。そのため、こうした日本人の特性は、日本で昔から盛んに行われてきた茶道とも繋がるものがあるといえます。


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