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畳の縁を踏んではいけない理由

 

日本の家であれば、部屋の一角に和室を設けている家は多いです。和室では、ほぼ例外なく畳が敷かれています。畳はマットのようなものであり、その独特の香りや質感から日本で古くから重宝されています。

 

そのためか、日本では今でも部屋の大きさを測るときは「畳に換算してどれくらいの大きさか」で記します。例えば、畳が8つ入る部屋であれば、「8畳の部屋」と表現します。

 

このような畳ですが、茶室の床は当然ながら畳です。そして、お茶では「畳の縁を踏んではいけない」というルールがあります。それでは、なぜ縁を踏んではいけないのでしょうか。これには、きちんとした理由があります。

 

   

 

 縁は畳の「顔」である
畳の大きさというのは、日本の地域によって異なります。ただ、茶室に使われる畳は、京都を中心とした「約1m90cm × 95cm」というサイズが基準です。

 

そして、茶道では畳を歩くときの歩幅などの細かいルールがあります。茶室は狭いため、ここに数人入っただけでも窮屈です。その中を大勢の人がルールなしに歩いていれば、無秩序な空間になってしまいます。これを避けるため、茶道では適切な歩幅が設定されているのです。

 

畳み目

さらに畳には、どれも「畳み目」といわれる縦縞の模倣があります。この畳み目は、一つ分が約1.5cmです。そこで、茶道では畳み目を基準にして道具を置く位置が決められています。

 

つまり、畳は長さを測ったり瞬時に位置を把握するための指標としても機能しているのです。

 

また、畳の縁に家紋を入れることがあります。その家を表す模様が描かれていることから、ここを踏むことはご先祖様に対してとても失礼なことをすることになります。

 

さらに、縁に使われている絵柄などによって、座る人の位が決められていることもあります。このように考えると、畳の縁は家や人を表す「顔」であるといえます。そのため、畳の縁を踏まないようにいわれているのです。

 

 身を守り、部屋が傷まないようにする
畳の縁に関しては、他にも踏んではいけない理由があります。忍者などが城に忍び込んだ後、畳の隙間から漏れるわずかな光を頼りにして相手の位置を確かめ、タイミングを見計らって畳の間から刀を突き刺すという手法が存在しました。

 

実際に命を落とす武士がいたため、これを避けるために畳の縁を踏んではいけないと考えられるようになったともいわれています。茶道は武士の間でも盛んに行われていたため、そのときの風習が現代に伝わっているのです。

 

また、縁というのは痛みやすい場所でもあります。何度も縁を踏むと、畳が次第によれてきて寸法にズレを生じてしまいます。これでは、物を置いたり立ち位置を決めたりするときに正確な場所を把握できなくなります。構造的な面でも、縁を踏んではいけないのです。

 

畳の縁を踏んではいけないのは、きちんとした理由が存在します。「決まりごとだから」「言い伝えられているから」で片づけるのではなく、そこにある意味を理解することが重要です。


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