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テーブルとイスに座ってお茶を飲む立礼(りゅうれい)式

 

茶道といえば、正座をしてお茶を飲むのが一般的です。ただ、茶道の中には「イスに座りながらお茶を飲む」という作法も存在します。これを、立礼(りゅうれい)式といいます。

 

かつての日本はイスなどを用いず、床に座ってご飯を食べていました。それに対して、欧米ではイスとテーブルを使ってご飯を食べます。そこで、これら西洋の人たちを茶道で招くために考え出された茶道が立礼式なのです。

 

 立礼式の誕生
正座が茶道の基本とはいえ、慣れていない人がその姿勢を長時間保つのは厳しいです。10分も正座をしていると、足がしびれてきて立った瞬間は軽い歩行障害に陥ります。普段の生活で正座をしない人にとって、正座はそれだけ足に大きな負担をかける座り方なのです。

 

   
 ※茶道で行われる正座

 

そういう意味では、正座をする習慣がなくなっている日本においても、立礼式の茶道は足への負担が軽い茶道であるといえます。

 

立礼式の茶道は、裏千家の11代家元である玄々斎精中(げんげんさいせいちゅう:1810~1877年)によって考案された作法です。日本で行われている茶道の中で、裏千家は最も習っている人の数が多い流派です。

 

茶道の世界で立礼式が初めて行われたのは、1872年に京都で開催された博覧会です。このときは日本国外の人が多く訪れるため、政府から茶道で行われる作法を工夫するように要請がありました。わざわざ海外から日本に来たお客様に対して、正座をさせるわけにはいかないからです。

 

ただ、他の流派は「そこまでして茶道を崩す必要はない」というものでした。そこで、玄々斎はテーブルとイスを用いた茶道を考えて披露することにしたのです。

 

立礼式の特徴は、亭主と客の両方がイスに座ることです。正座はしません。ただ、そこで使われる道具は通常の茶道で用いられるものと同じです。一部の作法は異なるものの、基本は正座で行われる茶道と同じように進行していきます。

 

 受け入れられる立礼式の茶道
伝統という言葉からか、茶道では新しいことを嫌い、古くから教えられてきたものをそのまま守ろうとします。そのため、立礼式は簡単に受け入れられるものではありませんでした。

 

ただ、茶道の基本をおさえて立礼式が考え出されているため、使われる棚や行われる作法は整合性が取れていて美しいです。また、まったく新しい特殊な作法を行うのではなく、従来の茶道と密接な繋がりをもって構成されています。

 

そのため、立礼式を考えた裏千家以外の流派でも、現在では立礼式を茶道に取り入れて行うようになっています。

 

実際、日本の施設には立礼式でお茶をするための席が設けられていることがあります。正座をするのではなく、最初からイスに座ってお茶を飲むことを前提にした茶室になっているのです。

 

たとえ伝統といえども、時代の流れによってそのスタイルは変わっていきます。立礼式が考え出されてから、茶道は日本人以外でも容易に行えるようになりました。こうして、古い伝統と新しい考えが混じりながら茶道は発展しています。


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