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茶道から「おもてなし」を学ぶ:旅館とホテルの違い

 

茶道を行うとき、「おもてなし」という言葉が頻繁に使われます。いわゆる、相手(お客様)に対して誠心誠意を尽くすという考え方です。おもてなしというのは、いわゆる接待とは違います。

 

茶道以外でも、日本の旅館では「もてなす」ことに重点を置いています。そのため、日本と西洋では、宿でのお客様に対する接し方が異なります。そこで、茶道から学ぶ「おもてなし」から、旅館とホテルの違いまでを理解していきます。

 

   

 

 おもてなしの考え方
ビジネスの世界では、「お客様は神様である」という考え方があります。お金を支払ってくれる以上は、できる限りのサービスをしようというものです。そのため、どの店に行ってもある程度の接待をしてくれます。

 

ただ、茶道では「お客様は神様」と考えることはしません。相手を神様だと考えて丁寧に接するというのは、完全なる上下関係が成り立っていることになります。相手(客)が上にいて、招く方が下の立場にいます。

 

しかしながら、茶道では客も亭主(客を招く側の人)も常に対等の立場にあります。亭主が出したお茶に対して、客はありがたく飲む必要があります。このときは、お茶の入った器を乱雑に扱ったり、自分の要望を突き付けたりしてはいけません。つまり、ここに上下関係はないのです。

 

上下関係でのサービスでは、マニュアル化すれば相手を知らなくてもある程度の接待を行うことができます。「望んでいるものはありませんか?」と相手から要望を聞きだし、それをマニュアルに従って実行するだけです。

 

一方、茶道では無言が基本です。静粛の中から、相手が望むものを考えながらコミュニケーションを行っていきます。相手をよく知ることで、何も発せずに心の中で言葉を交わすのです。

 

京都でも、格式の高い料亭(日本式のレストラン)では、「一見さんお断り」の店があります。普通、飲食店を選ぶときは、道を歩いているときにパッと目についた店に入ります。しかし、このような客は必ず断るのです。その代わり、常連客からの紹介であれば店に入ることができるというものです。

 

これは、決して傲慢な態度を取っているわけではありません。なぜ、このような制度になっているかというと、店側が相手(お客様)のことを知らないからです。

 

最高のサービスをするためには、相手の職業や興味をもっているもの、好きなお酒の種類などをあらかじめ知らなければいけません。これにより、ようやくお客様に合った料理やお酒を出すことができるのです。しかし、一見さんであればそれを行えなくなります。

 

日本の高級料亭では、「相手が何も言わなくても最高のサービスを提供する」という使命があります。これが、一見さんお断りの理由です。

 

 旅館とホテルの違い
西洋のホテルでは、お客様の要望を積極的に聞き出そうとします。こうして、「できるだけ短い時間で要望に応える」「マニュアル化して失礼のないようにする」などが行われています。

 

一方、旅館(和式の宿泊施設)で行われる日本式の接待では、マニュアルを用意することはありません。それどころか、亭主が客に対して自分の要望を出すことがあります。例えば、「建物から見える、この景色をぜひ見てほしい」「旬の魚が手に入ったので、味わってほしい」などがあります。

 

客の要望を聞き出すだけでなく、自らも意見を言うため、あくまでも対等の関係にあります。完全なる主従関係ではないことが、茶道や料亭、旅館など、古くから行われている日本式の接待の特徴です。これが、おもてなしの本質です。

 

茶道では、静粛の中で茶会が進行していきます。また、高級料亭では客が何も言わなくても、その客が望む料理や酒が出されます。そして旅館でも、「お客様が食事のために部屋を開けている間に、寝るための布団を敷いておく」など、無言で相手が望むことを行います。

 

西洋で行われている接待と日本式の接待では、その根幹にある考え方が違います。どのように違うのかについては、ここまで述べてきた通り、茶道など日本で受け継がれてきた伝統を読み解くことで見えてきます。


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