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茶道で掛け軸や花を用いる意味

 

茶道で掛け軸や花を用いる意味

茶道を行うとき、茶室では掛け軸がかけられます。また、花を飾ることも行います。このときは茶会のテーマによって掛け軸が選ばれ、季節によって花の種類が変わります。

 

そして、実際に茶道を行うときは「掛け軸に礼をする」などの作法があります。それでは、なぜ礼をしなければいけないのでしょうか。

 

また、花を生けるときは豪華にすることはありません。花を一本だけ入れることが多いです。それでは、なぜ一輪の花が好まれるのでしょうか。これには、きちんとした理由があります。

 

 掛け軸を書いた人の精神へ礼をする
茶室には、床の間という場所が存在します。掛け軸をかけたり、花を飾ったりするのは床の間です。日常生活の中で過ごす場所と比べて段差があり、区切られている部分が床の間でもあります。

 

 

 

日本の住宅でも、和室があればたいてい床の間があります。ただ、日本で床の間のある家が少なくなるに従って、床の間の意味を知る人は減少しています。

 

床の間というのは、神聖な場所であると考えられています。そのためか、見ごたえのあるものや美しいものを飾る場所になっています。

 

そう考えると、掛け軸をかけ、花を生けるのが床の間であるのは自然の流れであるといえます。そのような神聖な場所に「格の高い掛け軸」をかけ、そこへ向けて礼をするのが茶道の作法の1つです。

 

このときの掛け軸というのは、多くは寺などで修業をした僧によって書かれたものです。つまり、掛け軸への礼というのは、「それを書いた人が長年に渡って修業してきた心に対して礼をする」という意味があります。単に礼をするのではなく、人の心を敬うのです。

 

そう考えると、床の間に自分が書いた掛け軸を飾るのは不謹慎な行為であるといえます。これはつまり、他人に対して「自分は凄いことを行った人なのだから、無条件で敬え」と言っているのと同じです。

 

「床の間の意味」や「掛け軸へ礼をするときの考え方」を知っていれば、自分の書いたものを掛けることはできません。そのため、物事の意味を知ることは重要なのです。

 

 花は自然の状態のままにする
通常、芸術というのは豪華な状態が好まれる傾向にあります。ただ、日本芸術の特徴として、質素な状態を好むという特徴があります。つまり、地味が良いとされているのです。

 

日本では、質素を好むことを「侘び寂び(わびさび)」といいます。茶道で生まれた言葉であり、これは花を生けるときも同じような概念で使われます。

 

茶道で花を用いるとき、何本もの花を活用して豪華に見せることはしません。あくまでも、1~2本の花を用いて質素に飾ります。これは、侘び寂びの考え方が根底にあるからです。そうすることで、「自然にある状態のまま本物らしく鑑賞する」ことができます。

 

花を束ねて美しく見せるのは素晴らしいです。しかし、それは自然の状態ではありません。そこで、花がもつ本来のありのままの姿を理想として、そこに美しさを見出すのが「茶道での美」なのです。

 

既にある素材に対して、人の手を加えて新たな作品を創出するのではありません。そのままの形が良いと感じるからこそ、花を豪華に飾ることはしないのです。こうしたことを古くから行ってきたからこそ、日本では謙虚な心が美徳とされ、自然を愛する考えが強いといえます。


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