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泡盛の「全麹仕込み」と「仕次ぎ」

 

日本で飲まれている焼酎の中で、泡盛は最古の焼酎といわれています。泡盛は琉球(沖縄県)で発展した焼酎であり、いまでは日本各地で飲まれています。

 

通常の焼酎と泡盛では、製法や用いる原料などに違いがあります。これらの特徴によって、泡盛独自の風味が生まれます。

 

 泡盛の製法
焼酎の製造では、米を原料にして菌を生やします。このときの菌を麹菌(こうじきん)と呼び、米に麹菌が増えることで麹が完成されます。麹はデンプンを糖へと変換する働きがあります。発酵には糖が必要であるため、焼酎造りに麹は欠かせません。

 

米と麹菌を混ぜ合わせることで、麹を造る過程を製麹(せいぎく)といいます。このとき、泡盛の製麹ではタイ米を活用するのが特徴です。

 

通常の焼酎では、日本国内で生産されるジャポニカ米が活用されます。そうではなく、泡盛では東南アジアで用いられる米を使うのです。

 

また、製麹の時に植え付ける麹菌には、黄麹、黒麹、白麹の3種類があります。どの麹菌を活用しても問題ありませんが、一般的な焼酎では、品質が安定しやすく、まろやかなお酒に仕上がる白麹を主に活用します。

 

一方、泡盛では「黒麹を使用しなければいけない」というルールがあります。黒麹以外の麹菌を用いると、泡盛と名乗ることができなくなります。

 

黒麹はクエン酸を大量に生産し、キレのある味になることで知られている麹菌です。酸っぱさの元であるクエン酸を生成することで、雑菌の増殖を抑えるのです。常夏の沖縄で酒造りをするため、雑菌の増殖を効果的に抑制する黒麹は都合がよかったのです。

 

こうして麹を造ったあと、今度は主原料(芋や麦、米など)や酵母、水などと混ぜ合わせて発酵させます。このとき、通常の焼酎では二回に分けて仕込みを行います。

 

一次仕込みでは、「麹、酵母、水」によって発酵を促し、アルコールを生成していきます。次に主原料(芋や麦、米など)と水を入れることで、さらなる発酵を促します。これを、二次仕込みといいます。

 

ただ、泡盛では一次仕込みも二次仕込みもありません。麹、酵母、水を一度に入れて、一回だけですべての発酵を完了させます。高温多湿の環境下で酒造りを行うため、仕込み時間を短くすることで腐敗を防ぐのです。

 

 

 

このように、すべての発酵を一度の仕込みで終わらせる製法を全麹仕込みといいます。泡盛では、全麹仕込みによる製造も特徴の一つです。

 

 泡盛での古酒と仕次ぎ
焼酎は熟成させることで味わいが深くなりますが、泡盛は熟成による風味や香りが特に際立ちやすいです。多くの焼酎が新酒として飲まれるのに対して、泡盛では何年も貯蔵したあとに飲まれる文化が盛んです。

 

3年以上の熟成期間を経た焼酎を古酒(クース)と呼び、泡盛は古酒が多く飲まれています。このような貴重な古酒を守るため、「仕次ぎ(しつぎ)」と呼ばれる手法が開発されているほどです。

 

仕次ぎでは、いくつかの甕(かめ)を用意します。この甕には酒が入っており、熟成年数に分けられています。最も古い酒の入った甕を親酒(一番甕)、次に古い酒の入った甕を二番甕、その次に古い酒を入れた甕を三番甕……、という具合に名づけていきます。

 

お祝いごとなどで親酒を飲んだら、減った分(飲んだり蒸発したりした分)だけ二番甕から親酒に補充します。すると、補充した分だけ二番甕の酒が減るため、今度は三番甕から二番甕に補充します。そして次に、三番甕へ古い酒(または新酒)を継ぎ足すという作業を繰り返していきます。

 

 

 

このように、年数の近い古酒を補充することで熟成した親酒が減らず、古酒の風味を保つことが可能になります。こうして、古酒を守っていく文化が泡盛では発達しています。


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