日本伝統文化スタイル - 伝統工芸品や日本文化のポータルサイト

奄美群島の黒糖焼酎

 

鹿児島県といえば、いも焼酎が有名です。ただ、同じ鹿児島県であっても、鹿児島市から南に約380kmの位置にある奄美群島では黒糖焼酎が広く造られています。

 

奄美群島では、奄美大島・喜界島・徳之島・沖永良部島・与論島の5島で焼酎造りが行われています。奄美は沖縄と鹿児島の中間に位置しており、青く澄みきった海やそこにしかいない固有の生物など、自然豊かな環境が特徴です。

 

 さとうきびから造られる黒糖焼酎
甘い香りを放つ焼酎として、黒糖焼酎が知られています。黒糖焼酎は黒糖(さとうきび)から製造される焼酎を指します。

 

さとうきびを用いた蒸留酒としては、世界では南米や西インド諸島などで飲まれているラム酒が有名です。ただ、黒糖焼酎では仕込みを行うときに米麹を用いる点でラム酒と異なります。

 

アルコール造りでは、糖からアルコールへと変換する必要があります。ただ、日本酒や焼酎などで用いられる原料の多くは糖を有していません。そこで、原料に含まれるデンプンを糖へと変換させる必要があります。この「デンプン → 糖」の変換に関わるものが麹(こうじ)です。

 

日本酒や焼酎では、主に米麹(米を用いた麹)が活用されます。このときの米麹を黒糖焼酎でも活用するのです。

 

さとうきびはそれ自体が糖であるため、麹を用いなくても酵母を加えれば勝手に発酵していきます。そのため、ラム酒は麹を加えません。ただ、黒糖焼酎では米麹を用いることで、ラム酒とは異なる風味を得ることに成功しました。

 

 戦争と黒糖焼酎の歴史
焼酎の製造販売許可を得ることができれば、いも焼酎や麦焼酎、米焼酎などあらゆる焼酎を造ることができます。しかし、黒糖焼酎は別であり、奄美群島でなければ黒糖焼酎を製造することができません。これには、戦争による歴史があります。

 

第二次世界大戦によって敗れた日本は、奄美群島を米国軍の支配下に置かれます。日本から切り離された奄美群島ですが、戦後の米不足によって奄美の人々は酒を飲めなくなってしまうという危機を迎えます。そこで、米以外の原料としてさとうきびに着目し、黒糖焼酎をさかんに造るようになりました。

 

ただ、1953年に奄美群島が日本へ返還されたときに問題が起こります。日本では糖類を焼酎の原料として認めていなかったのです。糖類から造られる蒸留酒は日本で「スピリッツ」と呼ばれ、焼酎よりも高い税金(酒税)が課せられてしまいます。

 

そこで、「奄美群島で造られている」「米麹を活用して酒を仕込んでいる」という2つの条件を満たすことにより、黒糖焼酎を焼酎として認める特例を出すようにしました。

 

こうして、奄美群島だけで造られている黒糖焼酎は、奄美の歴史と共に発展していくようになりました。なお、酒蔵によって使用する水などが異なるため、奄美群島で造られる黒糖焼酎は蔵によってそれぞれ風味や味が異なります。


 スポンサードリンク

サイトマップ
HOME