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日本酒の造り方:洗米、浸漬、蒸米

 

精米が終わった後、次に米を洗う作業に移ります。これを、洗米(せんまい)といいます。米の表面に残ったわずかなヌカを落とすためです。

 

また、洗米の後には米に水を吸収させる浸漬(しんせき)と呼ばれる作業を行います。これらの段階を経て、米が蒸されます。

 

 洗米と浸漬
勘だけでは、日本酒を造れません。計算して行うことで、ようやく良い酒になるのです。米を蒸す前に水を吸収させるために、重要となる作業が洗米と浸漬です。

 

洗米は、食用の米を洗うときと同じような感覚ではありません。酒造りでは米粒の外側をたくさん削るため、その分だけ割れやすくなっています。そのため、細心の注意を払わなければいけません。

 

また、表面を削った米粒は水を吸収しやすくなっています。そのため、素早い作業が必要になります。洗米に余分な時間をかけてはいけません。時間を誤ると、べたついた米になって使い物にならなくなってしまうのです。

 

これは、洗米後の米を水につける浸漬でも同様です。長く水につければ良いのではなく、吸水率は8割程度に留めなければいけません。

 

このようなことが要求されるため、洗米と浸漬では秒単位で時間が決められています。ストップウォッチを用いることで、適切な吸水に留めるのです。こうした工程を手作業で行った場合、重量の誤差は0.2%以下になります。

 

さらに、水の吸収具合は米の品種によって異なります。同じ品種でも、精米歩合(どれだけ米の外側を削ったかを示す指標)によっても変わってきます。米の産地や使用する酵母の種類によっても時間が左右されます。そこで、長年の経験やデータの蓄積から、洗米と浸漬の時間を秒単位で決定するのです。

 

現在では、洗米を機械で行う蔵は多いです。しかし、吟醸酒など精米によって米の表面を多く削っている場合は、手作業で行っていることもあります。

 

 米を蒸す
通常、食べる米は炊きます。しかし、酒に使う米は蒸す必要があります。これには、当然ながら理由があります。

 

まず、米を柔らかくしておくことがあります。米は麹菌(こうじ:米のデンプンを糖に変換する微生物)と混ぜる必要があるため、麹菌が入り込みやすいようにしておくのです。これを、「米のデンプンのアルファ化」といいます。さらに、米を殺菌しておくことで、これより後の作業を行いやすくする意味もあります。

 

このような米を蒸す作業では、甑(こしき)と呼ばれる大型のせいろが用いられます。かつては木製の甑が主でしたが、現在ではステンレス製のものなど、洗浄や消毒を行いやすいものが主流です。

 

甑で米を蒸すとき、45分から1時間ほどの時間がかかります。蒸し作業が終わった後にふたを開けると、そこには蒸し米が姿を表します。

 

蒸し米は、「麹を作るために使われるもの」と「仕込みに使われるもの」の2つに分けられます。仕込みとはいっても、酒母に用いるものや添加するためのものなど、用途ごとに違います。蒸し米はあらゆる場面で活躍するのです。

 

重要なのは、「麹用や酒母用など、それぞれ適した温度がある」ということです。蒸し米は甑から取り出して冷やす必要があります。このときは放冷機を用いる場合があれば、床に広げて自然冷却させる場合もあります。このときに冷ます温度が、用途ごとに異なるのです。

 

そのため、機械を用いる場合よりも、甑を使って仕上げた方が良い蒸し米を作ることができるとされています。

 

このような理由もあり、日本酒造りで最も重要となる「麹を作るときの蒸し米」は甑を用いる蔵が多いです。また、吟醸酒などの繊細で高級な酒を造りたい場合でも、甑で米を蒸すことが多いです。

 

こうして、酒を造るための蒸し米が作成されます。機械に頼る部分とそうでない箇所を見極めることによって、より格式の高い酒造りができるようになります。


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