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宣教師が記した日本酒と江戸時代での杜氏の出現

 

室町時代(1336~1573年)では京都を中心にして、多くの日本酒が造られるようになりました。酒の需要が高まり、それと共に酒屋が大きな経済力をもつようになったのです。

 

また、京都以外でも有名な酒が造られるようになります。その土地に合わせた日本酒が誕生して、ブランドを築くまでになったというわけです。

 

このような流れは安土・桃山時代(1573~1603年)でも続きます。1478年から140年にも渡って寺院の生活を記した多聞院日記(たもんいんにっき)によると、このころに仕込み桶が開発されて多くの酒を一度に造れるようになったといいます。

 

また、当時は多くの戦国武将が日本各地を支配していました。そこで、その地域の気候や料理に合った日本酒がさらに発展していきました。

 

 宣教師と日本酒
安土・桃山時代には、キリスト教を広めるためにヨーロッパから宣教師が訪れるようになります。布教活動のために日本に来た彼らは、日本酒に関する記述も残しています。

 

その文章を確認すると、「酒は米から造られる。ただ、その量は少なくて値段も高い」「私たちは酒を冷やして飲むが、日本では酒を温める」とあります。

 

また、宣教師のフランシスコ・ザビエルは薩摩(鹿児島県)の戦国武将である島津貴久や、同じく周防国(山口県)の戦国武将の大内義隆にブドウ酒を献上したとされています。つまり、宣教師たちはワインを基準にして、日本酒に関する記述を残したと考えられます。

 

さらに、このころはワイン以外にも焼酎が琉球(沖縄県)から伝わります。蒸留による酒造りが南から入ってきたのです。こうして、琉球から最も近い薩摩(鹿児島県)をはじめとして、九州で焼酎が造られるようになります。このときの焼酎は、芋酒として京都で飲まれるようになりました。

 

沖縄県や鹿児島県では、日本酒はほとんど造られていません。それよりも、焼酎の生産が盛んです。この理由は、このような歴史を紐解いていけば見えてきます。

 

こうして、ヨーロッパからワインを輸入していただけでなく、琉球(沖縄県)から泡盛、中国・朝鮮からは薬草酒なども輸入されます。活発な貿易が続けられ、これは江戸時代(1603~1868)の初期まで続きました。

 

 江戸時代の日本酒
日本酒造りは江戸時代でも続けられます。このころには東南アジアに向けて、日本酒が輸出されるようになります。日本酒はワインよりもアルコール度数が高いため、このときは日本酒を食前酒として飲み、ワインを食中酒として飲んでいたとされています。

 

また、「酒によって大きな経済力を得た商人たちに対して、どのようにして税金を取り立てるか」は当時の幕府にとって重要な問題でした。そこで、酒税を徴収するために日本全国で何度も調査を行いました。

 

酒価格の5割もの税金を課す制度まで表れたことを考えると、それだけ酒の流通が盛んだったことを伺うことができます。

 

ただ、「5割の税金」ということは、単純に価格が1.5倍になることを意味します。そのため、酒が高くて売れなくなるという懸念から、酒税が5割になったとき、リスクを回避するために酒屋は酒の生産を抑えました。そのため、狙い通りの税収を得ることはできなかったといわれています。

 

 年に何度も日本酒を造る
現在では、日本酒は冬に造られるのが一般的です。これを、寒造りといいます。しかし、江戸時代では、一年間に日本酒を何度も造っていました。

 

江戸時代の初期では、新酒、間酒(あいしゅ)、寒前酒(かんまえざけ)、寒酒(かんしゅ)、春酒(はるざけ)と5回も造っていたのです。一年(四季)を通じて日本酒造りを行うことから、これを四季醸造といいます。

 

ただ、飢饉などによって米が不足すると、酒造りに回している米はありません。一方、豊作の場合は米が余るため、多くの税収を確保できて米の値段を下げることのできる日本酒はむしろ好都合です。

 

そこで幕府は、酒造りを統制しようとしました。これを、酒造統制といいます。現在でいうと、「中央銀行や政府が景気をコントロールするための政策」が酒造統制であるといえます。

 

そのような中、冬に質の良い酒ができることもあり、酒造統制の一環として酒造りが行えるのを冬だけに制限しました。つまり、寒造りしか行うことができません。こうした政策の中で四季醸造は行われなくなり、衰退していきます。

 

また、酒造りが冬だけになったため、農業を終えた農民が冬に出稼ぎを行うために酒蔵へ出向くようになります。こうして、杜氏(とうじ:酒造りの最高責任者)の村が形成されていくようになります。


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