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日本酒の造り方:製麹(せいぎく:麹造り)

 

旨い日本酒を造るとき、最も重要になる要素が麹(こうじ)です。麹とは、デンプンを糖に変換するために微生物を繁殖させたものを指します。

 

蒸した米に麹菌を繁殖させることで、麹が完成されます。このときに出来上がる麹の良し悪しが、その後の酒の味を決定するのです。

 

 

 酒造りは麹が重要になる
米には糖が存在しません。そのため、そのままの状態では発酵しないのです。そこで、米に含まれているデンプンを糖へと変換する必要があります。この役割を担っているのが麹菌です。

 

それだけでなく、麹菌は他にもさまざまな酵素を作り出します。このときの酵素により、ビタミンやアミノ酸まで生成されます。これらが酵母の栄養になったり、酒にコクを与えたりするようになるのです。このように、麹を造ることを製麹(せいぎく)といいます。

 

良い酒を造るためには、良質の麹が必須であるとされています。ただ、麹造りが最も重要であるものの、一番難しくて神経を使う作業であるともいえます。

 

 麹造りを行う
現在では、機械によって麹を造ることができます。しかし、酒質に重要な麹であることから、今でも伝統的な手法で行われていることもあります。麹造りの中でも、伝統的な手法では「箱」を用いて麹を造ります。

 

まず、蒸し米が出来上がった後は冷ます必要があります。麹菌は微生物であるため、高温状態では麹菌が死滅してしまいます。そこで、30~35℃くらいにまで冷まします。

 

その後、麹造り専用の部屋へ蒸し米を運びます。この作業を「引き込み」といい、このとき運ばれる部屋を麹室(こうじむろ)といいます。

 

   

 

麹室では、麹菌が繁殖しやすいように温度や湿度が管理されています。温度は30℃、湿度60%程度です。

 

ここで蒸し米を広げ、麹菌の胞子を振り掛けます。その後、蒸し米をかき混ぜたり寝かしたりします。こうして細かい作業を行った後、箱に小分けにしていきます。

 

菌が繁殖するときは熱が出ます。そのため、麹を箱に移した後も箱の位置を入れ替えたり、麹をかき回したりして温度調節を行います。これは、温度が高すぎると麹菌が弱ってしまうからです。

 

これらの作業を行い、麹菌の胞子を振り掛けて約50時間経過すると、サラサラした麹が完成されます。このときの麹からは栗を焼いたような甘い香りが漂うようになります。ここまでくると、麹室から麹を運び出します。これを、出麹(でこうじ)といいます。

 

 麹が酒の質を決める
ワインの場合、ブドウによってワインの質が8割決まるといわれています。ワインではブドウの産地や品種などが重要視されますが、これにはブドウがその味や質を決定するからです。

 

これと同じことは、日本酒でいう麹に当たります。ただ、日本酒の場合は麹を蔵ごとに人の手によって作成します。そこに携わる人によって日本酒の味や質が変わるというのは、麹が酒造りに重要な要素だからなのです。

 

麹を造る間は、蔵の職人たちは夜中であっても睡眠を中断して作業を行います。米の産地や品種、使用する水、精米度合よりも、麹の育て方がうまい酒かどうかを左右します。

 

なお、吟醸酒などの高級酒であっても、機械を用いて麹を造ることもあります。それでは、機械を用いれば後はすべて自動なのかというと、必ずしもそうではありません。

 

麹の感触や香りなど、最終的には人間が判断しなければいけない部分は多いです。昔ながらの手法に比べると作業や時間を短縮できる機械による麹造りであっても、人の介入は必要不可欠なのです。


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