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酵母の種類を知る:日本酒造りと協会酵母

 

酒造りに酵母は欠かせません。酵母が存在するからこそ、発酵が進んで香りや味わいに変化が生まれるのです。

 

たとえ同じ米や水を原料に使ったとしても、酵母が違えばその風味も変わります。これは、酵母が香りを生み出したり、アルコールを造ったりしていることが大きく関係しています。

 

 質の高い協会酵母を活用する
酵母は自然の中に無数に存在しています。その中でも、酒造りに適した酵母が存在します。例えば、ワインにはワイン酵母が存在します。ビールにも、ビール酵母があります。これと同じように、日本酒造りに適した酵母があるのです。

 

かつては、酒蔵に住み着いている酵母(家付き酵母)を用いて日本酒を造るしかありませんでした。自社の酵母を用いて発酵させるため、その品質は酒蔵によって大きなバラつきがあったと推測できます。

 

そのような中、1906年に日本醸造協会が設立されました。それと共に、質の高い酵母を採取し、純粋培養した後に酒蔵に販売するようになりました。これを、協会酵母といいます。現在では、多くの蔵が協会酵母を利用しています。

 

協会酵母にはいくつか種類があり、番号によって振り分けられています。もちろん、使用する酵母の種類によって、完成される酒の特徴も変わります。

 

協会酵母の種類

特徴

協会6号 香りは低く、まろやかな味わいになる。
協会7号 香りが高く、燗に向く酒になる。人気の酵母。
協会9号 果実系のさわやかな香りを出すようになる。人気の酵母。
協会10号 酸が少なく、淡麗な味わいになる。
協会11号 アミノ酸が少なく、アルコール度数の高い酒になる。
協会14号 酸が少なく、香りの穏やかな酒になる。

 

どの酵母を使うかは酒蔵の自由です。多くは、酒造りの責任者である杜氏(とうじ)と社長に当たる蔵元が相談して決定します。ちなみに、人気の酵母は協会7号と協会9号です。

 

表に示した酵母は泡あり酵母と呼ばれ、発酵するときに泡を出します。そのため、活発に発酵しているときは泡が高くなります。そこで、タンクから泡が飛び出さないように、タンクを高くしたり夜中に見回りをしたりしなければいけません。これを解消するため、現在では泡なし酵母が出回っています。

 

泡あり酵母の発酵はゆるやかであるため、細かい泡が蓄積していきます。一方、泡なし酵母の場合は発酵が速いため、大きな泡ができて弾けます。そのため、泡なし酵母では発酵時に泡が溜まりません。泡なし酵母を活用すると、余分な手間がかからなくなります。

 

もちろん、発酵が速いことから分かる通り、泡なし酵母を用いる場合は発酵し過ぎないように調節しなければいけません。

 

 吟醸香を出す酵母
酸や香りを生み出す工程において、酵母は重要です。例えば、日本酒によってはリンゴや梨などのフルーツの香りを出すことがあります。これには、酵母が大きく関与しています。

 

吟醸酒を造るとき、米の外側をできるだけ削ってタンパク質などの栄養素を排除しようとします。そのため、それだけ酵母の栄養は少なくなります。さらに、酒造りは冬の寒い時期に行われます。

 

この中で酵母が発酵するため、強いストレスがかかります。こうした中でエステル類が生成され、果物のような香りを生み出すようになります。このときの香りを吟醸香といいます。

 

なお、協会酵母は専門の機関が管理しているため、毎年安定した高品質の酵母を入手できます。ただ、その中でも県独自の酵母を用いて酒造りを行う場合もあります。その地域に根付いた酵母を用いることで、独自の日本酒にこだわっている酒蔵も存在するのです。


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