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漆とは何者か

 

漆器(しっき)とは、漆(うるし)を木や布などに塗ることで仕上げられた伝統工芸品のことを指します。漆は「漆の木」から取れる樹液であり、木を傷つけたときに出る液体を採取・精製することで出来上がります。

 

漆には強い接着力と滑らかな光沢があります。そのため、漆を用いて作品を作るだけでなく、陶磁器が割れたときの修復にも利用されます。漆には他の物質にはない特徴があり、これらを利用して漆器を作り上げるのです。

 

 漆の特徴

漆器

漆の木は東アジアに分布しています。日本や中国以外にも、台湾やベトナム、タイ、インドなどにもあります。これらの国より西に行けば、漆の木はありません。

 

ただ、現在では南米などで漆の木が移植され、東アジア以外でも漆の木を見ることもあります。

 

この漆の木を傷つけることで漆を取りますが、その主成分は育った国によって異なります。

 

日本や中国の漆の木から取れる漆には、主にウルシオールと呼ばれる物質が含まれています。光沢を出したり、塗った物質を頑丈にしたりするなど、漆に特徴的な作用はウルシオールが担っています。

 

ただ、漆の木は産地によって主成分が異なります。台湾やベトナムにある漆の木はラッコールが主成分であり、タイやミャンマーでの漆の木はチチオールが主成分です。そのため、良質の漆を取るためには、漆の木の樹種にも目を向けなければいけません。

 

さらに、漆は気候によって乾き方が異なります。塗った後に乾かすとき、日本のような気候であると良質な漆になります。つまり、「乾かす場所」が漆にとって重要なのです。そのため、たとえまったく同じ漆を使用したとしても、乾燥させた場所が日本とヨーロッパでは、漆器の質が異なります。

 

また、漆を塗るときに少しでも手の油が付着していれば、その跡が後々まで響きます。さらに、漆の乾燥はその日の湿度によっても、大きく左右されます。このように、漆は繊細な生き物であるといえます。

 

 漆器は丈夫である
漆を使った素材はとても頑丈になります。漆は熱や酸・アルカリに強い性質があります。金を溶かしてしまう王水に対しても、漆はびくともしません。また、陶器やガラスを溶かすフッ化水素にも、漆は溶けません。

 

採取したばかりの漆は液体ですが、これが一度でも固まると再び溶けることはないのです。これが、漆器が頑丈である理由です。

 

このように、塗った物質を頑丈にする性質から、漆は潮風に長時間さらされる船の材質に使用されることもあります。実際、高級船で漆は多用されます。

 

古墳などから発掘される道具をみると、たとえ2000年以上も泥の中に埋もれた漆器であっても、その形を残したまま光沢を放っているほどです。漆という素材を使えば、何百年・何千年にわたって使用することができます。それだけ、漆器は頑丈なのです。

 

もちろん、漆に油などを混ぜるなどによって「粗悪な漆」を使用すると、使っているうちに剥げてくることがあります。ただ、純粋な漆を使えば、研磨することがあっても剥げることはありません。

 

つまり、本物の漆器を活用すれば、かえって安上がりになります。その漆器を何世代にもわたって使うことができ、長持ちするからです。

 

なお、ヴェルサイユ宮殿で華やかな生活を送ったマリー・アントワネットも漆器をコレクションしていたことで有名です。その鮮やかな艶と見た目の美しさから、かなりの昔からヨーロッパの宮廷貴族の間でも漆器がもてはやされていたのです。

 

これらの漆器類は、ヨーロッパの美術館で鑑賞することができます。日本から送られた東洋の芸術品として、漆器は世界でも評価が高かったのです。


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