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湿度が高いほど乾く漆の不思議:ウルシオールの性質

 

漆器

漆には、普通では考えられない不思議な性質があります。漆の特殊な性質により、湿度が高いほど乾きやすかったり、一度乾くと再び溶けることはない強固な物質になったりします。

 

これは、漆に含まれるウルシオールという主成分が関係しています。ウルシオールが漆の不思議な性質と深く結びついているのです。

 

 漆は普通の乾き方をしない
普通に考えると、空気が乾燥していて高温であるほど、液体に含まれる水分が抜けて固まるように思います。ただ、漆はそのような固まり方をしません。

 

水が固まるような摂氏0℃であると、漆は固まるのを止めます。それから少しずつ温度が上がっていくと、漆は乾くようになります。

 

ただ、このときの温度は40℃くらいまでです。40℃を超えると、今度は乾かなくなり、これは80℃くらいまで続きます。その後、80℃を超えたあたりから、漆は再び乾くようになります。このように、漆は温度によって乾いたり乾かなかったりします。

 

また、乾くときの時間は漆を塗る場所や気候によって大きく変わります。通常は5~6時間で乾くとされていますが、これは漆を取るときの条件や精製方法などによって変わります。

 

さらに、青森県などの寒い地方では乾きが悪くなります。他にも、砂漠などの暑くて乾燥した地域では、乾くことがなくなります。このように、漆を塗る場所も重要なのです。これが、たとえまったく同じ漆を使ったとしても、日本で塗られた漆器と他の地域での漆器では品質が違う理由です。

 

条件によって乾き方が異なることから、日本でも季節によって乾きやすい時期とそうでない時期があります。漆に関して、冬は乾きにくく、梅雨になるとよく乾くようになります。

 

これらの作用は、漆に含まれるウルシオールによるものです。漆の場合は、通常のように水分が抜けて乾くわけではありません。漆が酸素を取り入れることで酸化し、化学反応によって液体から固体へと変化するのです。

 

そのため、漆が乾くには適度な湿気が必要になります。湿気が漆の酸化反応を促すため、梅雨の時期が最も乾きやすいのです。冬に漆が乾きにくいのは、温度が低いだけでなく、空気の乾燥が大きく影響しているのです。

 

 乾燥速度を調節する
このように不思議な乾燥の仕方をする漆は、乾燥速度を調節することができます。例えば、乾燥を早める場合であれば、酸化剤を加えることがあります。これは前述の通り、漆が酸化反応によって固まるからです。

 

また、水分やアルコールを与えることもあります。密閉した容器の中に水分を入れて湿らせたり、酒を吹き付けたりした後、その中に作品を入れて乾かすのです。この場合であると、酸化剤などを加える場合に比べて、無理な問題もなく乾燥できるようになります。

 

一方、乾燥を遅らせる方法も存在します。漆を100℃にすると、酸化反応に関わる酵素の働きがなくなってしまうため、漆は乾かなくなります。そこで、この「乾かない漆」を混ぜることにより、乾きにくくします。

 

例えば、漆器を作成するとき、金粉を撒いたり装飾を施したりします。このような作業に手間取っていると、漆が固まってしまって思い通りの作品にならないことがあります。漆は一度でも固まると再び液体にはならないため、最初からやり直しになります。

 

これを避けるため、漆が固まる速度を遅くさせることも重要です。そのときの気候なども考慮しながら、漆器を作成していくのです。


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