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「クロメ」と「ナヤシ」で漆を精製し、色漆を作成する

 

漆の木を傷つけることで噴き出してきた樹液を採取したものが、漆の元になります。ただ、このときの漆液をそのまま利用するわけではありません。実際に活用するには、多くの工程を経る必要があります。その中でも、漆に含まれる余計な水分を抜く「クロメ」と漆に光沢を出すために行う「ナヤシ」は重要です。

 

また、これら精製作業を行った後は、漆に色をつける作業を行うことがあります。漆器でみられる黒色や朱色の光沢を出すためには、適切な色が出るようにひと手間を加える必要があります。

 

 クロメとナヤシによる作業
樹液として取ったばかりの漆を、「アラミ」といいます。このときの漆は灰褐色であり、ゴミが入り込んでいます。このゴミは取らなければいけません。

 

そこで、ろ過することでゴミを除きます。こうして作られた、ゴミのない状態の漆を生漆(きうるし)といいます。

 

その後、今度は生漆に含まれる余分な水分を除去します。水分を抜くことで、厚みをもたせて漆を塗ることができるようになります。昔は太陽の光を直接当てていましたが、これでは効率が悪いので、現在では電熱線などを利用して水分を飛ばしていきます。

 

この作業を「クロメ」といいます。クロメを行うと、漆は灰褐色から半透明の茶褐色へと変化していきます。

 

また、水分を抜くとき、同時にゆっくりと撹拌させていきます。すると、漆に光沢が表れるようになります。このときの撹拌作業を「ナヤシ」といいます。

 

つまり、水分を飛ばす「クロメ」と撹拌作業の「ナヤシ」を同時に行います。これらの作業を長い時間かけて行うことで、質の良い漆へと変貌していきます。

 

 漆に色をつける
漆器をみると、朱色や黒色などの光沢を出している作品は数多くあります。ただ、漆を精製した後は茶褐色になります。そこで、漆に鉱物を加えることで朱色や黒色などの色をつけていきます。

 

黒漆を作るのであれば、黒色の物質を漆の中に混ぜます。例えば、松の木を燃やすと真っ黒な煤(すす)ができます。このときの煤を漆に混ぜると、黒漆になります。ただ現在では、細かい鉄を加えることで黒色の漆を表現します。

 

そして、朱漆を作る際も同様に、漆に対して朱色の元となる色素をいれます。このときの色素は、硫酸水銀や酸化鉄などです。

 

伝統工芸品でみられる漆器といえば、黒漆と朱漆が主です。ただ、漆には他にも黄色や藍色、緑色など7色が知られています。これらの色は、どれも漆に顔料を加えることで表現できます。

 

 漆器  漆器

 

しかしながら、漆に色をつける作業は、実際に漆を塗るときになって行う必要があります。絵具のように、既に色を付けた漆をチューブとして中に入れておくわけにはいかないのです。

 

漆を単独で保存する場合、何千年とその状態のままを保ちます。ただ、ここに色の成分を入れて長時間保存すると、漆の性質が変わって乾かなくなるなどの不具合を生じるようになります。そのため、漆に色をつけるときは、その都度調合する必要があります。

 

ちなみに、漆は国によって性質が異なります。日本で取れる漆は茶褐色ですが、タイなどで取れる漆はゴム質で真っ黒です。そのため、タイ産の漆を活用すれば、特別な顔料を混ぜなくても、黒色の漆として活用することができます。


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