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漆の樹液を採取するには

 

漆器

漆の木から取れる樹液が、漆の元になります。道具を使って漆の木に傷をつけることにより、そこから出てくる漆を取るのです。

 

このときの漆は、採取するときにいくつかポイントがあります。ただやみくもに傷をつければよいのではなく、注意点を踏まえたうえで貴重な漆を取ってくる必要があります。

 

 効率よく漆を取るには
道具を用いることで漆の木に傷をつけると、そこから樹液が出てきます。このときの樹液は、皮と木質の間からよく取れます。そのため、傷が深すぎると樹液が木の中へと吸い込まれてしまいます。そこで、木の表面を覆っている皮を傷をつけ、効率よく樹液が出るように力加減を調節しなければいけません。

 

皮の下に存在する漆液の層だけを傷つければ、最も樹液が外に出るようになります。そのため、単に大きな傷を付ければ、それだけ漆も多く取れるという単純なものではないのです。

 

また、漆の木を傷つけたとき、日数が経過すると、木から吹き出る樹液の量も多くなります。これは、漆自身の自然治癒力を利用したものです。人間が出血したとき、血液によって傷を固めるのと同じように、木は漆を出すことによって傷を止めようとするのです。

 

漆の木に傷がついて樹液が出ると、それを補うために活発に漆を生産するようになります。これにより、木の中に存在していた漆の何倍もの量が作られるようになります。

 

そのため、最初に傷をつけた日から数日経過した後に倍以上の傷をつけると、さらに多くの樹液が出てくるようになります。

 

このように傷がつくと、漆の木は成長を止めます。その代わりとして、漆を大量に作るために活発に活動するようになります。このときは傷を徐々に大きくしていき、多くの漆を採取していきます。

 

最初から漆の木を伐採して絞ったとしても、多くの漆は取れません。傷によって漆を大量生産させるように仕向けてこそ、ようやく漆が取れるようになるのです。

 

 漆の採取方法:「殺し掻き」と「養生掻き」
漆の採取には、2種類の方法があります。一つは、その年のうちにできるだけ多くの漆を取りつくすという手法です。これを、殺し掻きといいます。殺し掻きでは、枯れてしまうのを前提で漆を取ります。

 

ただ、幹の根元をあらかじめ切っておけば、翌年にはその根元から芽が出てきます。その後は迅速に育ち、数年で漆を取れる状態にまで成長します。

 

また、木を殺すことなく、何年にもわたって漆を取り続ける手法もあります。これを、養生掻きといいます。少しずつ漆を取るので、一年で採取できる量は少ないです。その代わり、長い目でみると総量では一本の木から多くの漆を取ることができます。

 

漆の採取期間は6月から11月までです。このとき、「どのような方法によって漆を取るのか」によって、採取量や漆の木の育て方が異なってくるのです。


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