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蒔絵による漆器の装飾

 

漆器といえば、黒や朱などの色で統一された器が有名です。ただ、より芸術性の高い作品になってくると、そこに装飾を施すようになります。

 

このような装飾の中でも、漆を使った作品の中で最も知られている手法が蒔絵(まきえ)です。蒔絵とは、金粉や銀粉によって漆器に絵を描く方法であると考えてください。金や銀を使うことで、漆器をさらに美しく見せるのです。

 

 蒔絵の重箱  蒔絵の重箱
 ※江戸時代(1603~1868年)に作成された蒔絵の重箱です

 

 蒔絵(まきえ)の技法
漆器に金粉などを蒔きつけることで、漆器に装飾を施す手法が蒔絵です。ただ、蒔絵には種類があります。どのような製法によって制作されているかによっても、その価値は変わってきます。

 

蒔絵には、大きく分けて研出蒔絵(とぎだしまきえ)、平蒔絵(ひらまきえ)、高蒔絵(たかまきえ)の3つがあります。

 

 ・研出蒔絵(とぎだしまきえ)
日本で蒔絵を行うようになったのは奈良時代(710~794年)であり、このころに行われた蒔絵手法が研出蒔絵(とぎだしまきえ)です。

 

蒔絵を行うとき、金粉や銀粉を付けたい場所に漆を塗ります。その後、漆が乾かないうちに粉を蒔きつけます。漆が十分に固まった後に余分な粉を払いのけると、そこには漆を塗った箇所に沿って金や銀などの装飾が施されるようになります。

 

ただ、当時は金粉などが粗く、漆を塗った箇所に粉を蒔いても光沢がありませんでした。また、漆器に対して強く付着しないという欠点もありました。

 

そこで、「粉を蒔きつけた後に漆を薄く塗り、木炭などで金や銀が表れるまで削る」という作業を行うようになりました。これが、研出蒔絵です。このような工程を経ると、単に粉を振りかけたときに比べて金銀の光沢が出て、漆器に対して強固に付着するようになります。

 

なお、当時は研出蒔絵という名称ではなく、末金鏤(まっきんる)と呼ばれていました。こうした研出蒔絵の手法が進化して、他の蒔絵が考え出されるようになります。

 

 ・平蒔絵(ひらまきえ)
昔は金粉の形が揃ってなく粗かったものの、これをふるいにかけるなどして均一にする方法が開発されました。細かい金粉を作れるようになると、「漆を塗った後に金粉を蒔きつけ、乾燥させた後に磨き上げる」という手法が行われるようになります。これを、平蒔絵(ひらまきえ)といいます。

 

研出蒔絵では、金粉の上にさらに漆を塗り、これを磨く作業が必要でした。ただ、平蒔絵の場合は「金粉の上に漆を塗る」という作業を省略し、いきなり磨き上げます。

 

金粉や銀粉の製造技術が進歩することにより、蒔絵を行う工程が非常に簡単になったといえます。

 

 ・高蒔絵(たかまきえ)
平蒔絵の場合、金粉は薄く平らです。一方、金粉を蒔きつける場所だけを高くした蒔絵手法として高蒔絵(たかまきえ)が考え出されました。

 

漆を何度も塗り重ねると、その部分だけ盛り上がります。また、炭の粉末と漆を混ぜて使うことで、盛り上げる方法も存在します。いずれにしても、これら盛り上げた部分に粉を蒔きつけることで、立体的な作品に仕上げます。

 

蒔絵には、主にここで述べた3種類の手法が存在します。中には、研出蒔絵と高蒔絵を合わせた肉合蒔絵(ししあいまきえ)という手法もあり、いくつかの蒔絵を組み合わせることもあります。


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