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漆による「かぶれ」はなぜ起こるのか

 

漆器

漆に有名な特徴として、「かぶれる」ことがあります。例えば、山登りをした際に誤って漆の木に触れると、ひどい炎症を引き起こすことがあります。いわゆる、接触性皮膚炎と呼ばれる症状です。

 

このためか、日本では漆というとかぶれのイメージが強いです。ただ、これは液状の漆のことを指します。漆器として固まった後の漆であれば、かぶれることはありません。

 

 良質な漆を使った漆器はかぶれない
漆には独特の特徴があり、これはウルシオールと呼ばれる主成分によるものです。ウルシオールの作用によって、「湿気があるほど乾きやすい」「一度固まると、液化することはない」などの不思議な働きが表れるようになるのです。

 

そして、ウルシオールには先に挙げた「かぶれ」を引き起こす作用があります。中には、漆の木が生えている山道を歩くだけでかぶれる人もいるくらいです。これは、漆の木に含まれているウルシオールが空気中に発散し、これが炎症の引き金になったと考えられます。

 

漆に触れたときのかぶれは個人差があります。あまりかぶれない人がいれば、漆に触っていなくてもひどい炎症を生じる人もいます。中には、まったくかぶれないという体質の人もいます。

 

ただ、漆を塗った後に完全に乾かしてしまえば、どれだけかぶれる人であっても、漆による炎症は起きなくなります。

 

たまに、新品の漆器に触れた後にひどいかぶれを生じる人がいます。ただ、これは漆器に使われた漆が粗悪品であった可能性が高いです。

 

通常、漆は5~6時間程度で乾きます。それにも関わらず、出荷して数日も経過した後の商品でかぶれるということは、漆に他の不純物(増量剤など)を混ぜて塗っていたため、十分に乾ききらなかったといえます。

 

 漆芸の職人はかぶれにくい
漆を扱うと、ほぼ100%の確率でかぶれてしまいます。液体の漆を扱ったとき、何かの拍子に漆が手や腕について赤く腫れてしまうのです。

 

これらの作用は、一種の免疫反応によるものです。漆に触れた部分は、ウルシオールの作用によって活発に免疫細胞が働くようになります。こうして、炎症が引き起こされます。

 

ただ、日ごろから漆に触れている職人であれば、漆が手についたとしても次第にかぶれなくなります。これは、漆に対して免疫が慣れてしまったからです。

 

例えば花粉症であっても、毎日少量の花粉に触れさせ続けていると、しだいに花粉症の症状は薄くなっていきます。これは、花粉に対する免疫反応が弱まってしまうからです。このようにして花粉症を治す医学的手法を減感作療法といいます。

 

これと同じように、漆に対して毎日のように触れると、免疫が反応しにくくなるのです。もちろん、個人差は大きいため、漆のかぶれの症状がひどすぎて漆職人を諦める人はたくさんいます。また、体調が悪いときでは、長年職人をしている人であっても漆によってかぶれてしまうことがあります。

 

漆によるかぶれは痒みが強いです。ただ、必ず完治するものであり、皮膚に跡が残ることもありません。しかし、根本的な治療法はないので、我慢強く症状が治まるのを待つしかありません。


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