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1万年以上も前から始まる漆の歴史

 

伝統工芸品であれば、500年も前から続いていればかなり古い部類に入ります。ただ、漆の場合は何百年という単位ではなく、1万年以上もの歴史があります。

 

それだけ、漆は古くから使用されていました。漆を用いて道具を作り、生活の中に役立てることをかつての人類は先駆けて行っていたのです。

 

 漆で道具を強化する

漆の木を傷つけて出てきた樹液を採取することで、漆になります。この漆の木に関して、日本では約1万2000年前のものが出土しています。

 

また、漆を活用した製品であれば、約9000年前のものが確認されています。

 

当時の人は稲作などを行って定住する生活ではなく、獣を狩ったり森に生えている果物を取ったりして生活していました。こうした生活では、石を削ったり竹を割ったりして獣を仕留めるための道具を作る必要があります。このとき、漆を吸わせることで道具を強化していました。

 

漆は光沢を出させるだけではありません。自然界の中では、かなり強い接着作用を有する物質として知られています。また、漆を塗った部分は強固になるため、壊れにくくすることができます。

 

この働きに着目して、かつて日本で生活していた人たちは漆を道具作りに活用したのだと考えられます。少なくとも縄文時代(BC 14,000年頃~BC 300年頃)の初期には、漆が使われ始めました。

 

 何千年も輝きを失わない漆
漆の特徴として、劣化しにくいことが挙げられます。実際、これら何千年も前に活用された漆を採取して分析すると、新しい漆と分析結果がほぼ同じです。また、これらの漆は光沢を放っています。成分の変化が少なく、漆は土に埋もれてもそのままの形を保ち続けるのです。

 

日本で取れる漆には、ウルシオールと呼ばれる成分が含まれています。この主成分によって、漆の特殊な性質が生み出されています。

 

なお、縄文時代には既に赤色や朱色の漆が使われていました。漆を精製すると半透明な褐色になり、ここに顔料を加えることで発色させます。縄文時代に使われた赤色顔料であれば、酸化第二鉄(Fe2O3)が主でした。朱色では、硫化水銀(HgS)を用います。

 

ただ、漆の木から樹液を取り、ここに含まれているゴミを取り去っただけの漆に先ほどの顔料を加えても、赤色にはなりません。どうしても、黒ずんでしまいます。

 

鮮やかな赤色や朱色を出すためには、さらに精製しなければいけません。漆の水分を取り去ったり、ゆっくりと撹拌させて光沢を出させたりします。こうした工程を経て、ようやく光沢を出すようになり、美しい赤色や朱色になるのです。

 

そして、縄文時代に作られた、鮮やかな色を放つ漆器が確認されています。つまり、これだけ大昔から現在のような精製技術が既に確立されており、色を付けて芸術性を高めていたことが分かります。

 

これら色が残っている漆が現在に残されたのは、紫外線に当たらなかったことが挙げられます。漆は強固な成分ですが、紫外線には弱いです。つまり、土に埋もれて紫外線からの影響を免れたことで、今の世界に何千年も前に作られた赤色を確認できるようになったのです。


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