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漆と金には深い関係がある

 

朱色や黒色など、一色で彩られた容器として漆器が知られています。ただ、漆器に装飾を施すことで、より鮮やかに演出する技法も多く行われています。

 

その中でも、金を使った装飾は漆器の中核となる技法です。金粉を蒔きつけて絵を描く「蒔絵(まきえ)」、漆器に彫刻を施した後に金を沈める「沈金(ちんきん)」など、金を用いた装飾法によって漆器は独自の発展を遂げてきたのです。

 

 蒔絵の重箱  沈金による漆器

 

 漆と金の関係
漆と金の相性は非常に良いです。黒色の漆の中に金を浮かび上がらせることで、漆器の中に溶け込ませることができます。

 

通常、金のように鮮やかな金属を用いる場合、西洋では金そのものをメインとします。金のネックレスや金の指輪など、それ自体が一つの作品として仕上がります。

 

一方、漆器は金だけで成り立つことはありません。金はあくまでも模様の一つであり、漆器の魅力を引き立てるための道具として活用します。そのため、金を用いれば良いというわけではないのです。さりげなく金を使うことで、ようやく漆器の美しさが際立つようになります。

 

 漆による接着力
漆器に金を用いるようになった理由として、「漆が強い接着力を有する」ことがあります。漆の接着力は、自然界に存在する天然の接着剤の中でも非常に強い部類に入ります。

 

その性質から、昔から狩りの道具の補強に使われたり、農具の修理に用いられたりしてきました。陶器の修理に用いるときにも漆が使われ、そのための手法まで確立されたほどです。

 

ちなみに、割れた陶磁器を漆によって繋ぐ方法を「金継ぎ(きんつぎ)」といいます。陶磁器を漆で接着させ、その繋ぎ目に金粉をまぶすのです。金継ぎを行うことで陶磁器の価値が高まることもあるほど、漆による接着の技術は優れています。

 

漆にはこのような接着力があるからこそ、金を強固に付着させることができます。金を付着させ、その上に漆をさらに塗り重ねて磨くことで、漆器と金を一体化させるのです。

 

 金の代替品を用いる
現在では、木の代わりに合成樹脂を使って漆器を作成していることがあります。また、漆を塗り重ねる代わりに、合成塗料を活用していることもあります。これと同じように、金の代替品を用いることがあります。

 

これらの代用品を活用すれば、値段をかなり安く抑えることができます。金は高価な金属であるため、その代わりの粉を使用するのです。

 

代用品の金であっても、漆器に装飾を施せば色鮮やかになります。ただ、本物の金に比べると、どうしても輝きや光沢は落ちてしまいます。

 

自然界に存在する金の場合、いくら時間が経ってもその輝きが失われることはありません。錆びることがなければ、変色もありません。しかし、どれだけ優れた技術を用いて代用品を開発したとしても、残念ながら天然の金と同様の質感を出すことはできないのです。


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