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拭き漆を学ぶ

 

漆器といえば、黒色や朱色によって塗り上げられた作品をイメージする方がほとんどです。これは、色のついた漆を何度も塗り重ねて磨くことで、目的とする色に仕上げていきます。

 

ただ、中には色のある漆を用いずに塗り重ねることもあります。つまり、天然の漆をそのまま活用して漆器を仕上げるのです。このような漆器を拭き漆(ふきうるし)といいます。

 

 拭き漆  拭き漆

 

 拭き漆の手法
漆の木に傷をつけることで、そこから漆の元である樹液が出てきます。ただ、この樹液の中にはゴミが混じっています。そこで、ゴミを取り除いたり水分を抜いたりする必要があります。このような工程を経て精製された漆を生漆(きうるし)といいます。

 

漆に色を付けたい場合、生漆に顔料(色がついた鉱物など)を混ぜ合わせます。黒色の顔料を混ぜれば、黒色の漆になります。また、朱色の顔料であれば、朱色の漆になるのです。

 

ただ、顔料を混ぜる前の漆は半透明な褐色です。そこで、下手に顔料を混ぜずに、透明なままの漆を木に塗り重ねていきます。こうして、拭き漆が完成されます。

 

木には木目があります。ただ、顔料を混ぜて黒色や朱色の漆を塗り重ねると、木目は見えなくなってしまいます。一方、顔料を入れていない元の状態の漆であれば、透明なので何度塗り重ねても木目が透けて見えます。そのため、木目を活かした素材そのままの作品に仕上がります。

 

 拭き漆を行う
拭き漆であれば比較的簡単に誰でも挑戦することができます。

 

黒色や朱色など、色の付いた漆を使って漆器を作成する場合、「下地 → 中塗り → 上塗り」などの細かい工程が必要です。また、それなりの技術も要求されます。

 

漆器は独特のツヤや鮮やかな色が特徴です。ただ、色のある漆を用いてこうした作品を作るのは、素人では難しいものがあります。

 

一方、拭き漆では色漆を使うときのような高度な技術は要求されません。拭き漆では、素材となる木に対して、顔料を加えていない生漆を塗った後に布でふき取る作業を何度も繰り返すことで完成します。

 

もちろん、美しく仕上げるためには長年の技術が必要です。ただ、色漆を使うときほどの技術は必要ないということです。

 

顔料を使わず、自然のままの素材で勝負することが拭き漆のメリットです。また、比較的安い製品でもあるため、手が届きやすいです。

 

なお、拭き漆を行うとき、木の種類によって仕上がったときのツヤや風合いは大きく異なります。木の種類が違えば、木目や漆を塗った後の色の出方も異なります。そのため、漆を塗る木材を選ぶ作業も重要です。例えば、皿などで拭き漆を制作する場合、木目がはっきりと浮き出るケヤキが多く利用されます。

 

このような拭き漆は、漆を塗り重ねては磨く作業を4~5回以上は繰り返します。色漆を用いる場合と比べれば作業は少なくなるものの、作品として綺麗な木目を出すには、材質を見極めて木を磨き上げるなど、最初の工程が特に重要になります。


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