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彫漆による漆器の装飾:堆朱、堆黒、堆黄、紅華緑葉

 

漆を塗ったものを漆器といいます。このとき、漆を何度も塗り重ねることで漆器を仕上げていきます。当然ながら、漆を塗る回数が多いほど、その厚みを増していきます。

 

この性質を利用して、漆を何百回も重ねていくと、漆による層ができあがります。この漆層に彫刻を施したものを、彫漆(ちょうしつ)といいます。

 

 彫漆による漆器>

 

 彫漆(ちょうしつ)の技法
木を彫って彫刻を施すのと同じように、漆を何度も塗り重ねた後に彫るのが彫漆です。彫漆には、その色によって堆朱(ついしゅ)、堆黒(ついこく)、堆黄(ついおう)などがあります。

 

堆という言葉には、「積み重ねる」という意味があります。堆朱は朱色の漆を塗り重ねたものであり、堆黒は黒色の漆、堆黄は黄色の漆を重ねて作成します。

 

このような彫漆は中国で始められました。これが日本に伝わり、発展していったのです。

 

漆に油を混ぜると、一回で厚く塗れるようになり、さらに柔らかくなるので彫りやすくなります。ただ、漆に油を混ぜて作った作品では、光沢がなくなったり年月が経過することで亀裂を生じたりするようになります。そのため、漆に油を混入すると、芸術品としての価値が落ちます。

 

時間をかけて漆を塗り重ねることで、ようやくそこに芸術性が芽生えるのです。日本には、何も混ぜていない天然の漆による彫漆の作品が数多く残されています。

 

ただ、昔はかなりの時間をかけて塗り重ねなければいけなかったものの、現在では整った設備を利用することで何万回も塗り重ねることが可能になっています。そのため、現在ではかつての人が苦労したほどの手間をかける必要はなくなっています。もちろん、手塗りにこだわっている人も中にはいます。

 

 紅華緑葉(こうかりょくよう)
彫漆を行うとき、必ずしも一種類の色の漆だけを使うとは限りません。複数の色がついた漆を用いることもあります。

 

例えば、最初に朱色の漆を何十回か塗り重ねます。その後、青色の漆、黄色の漆、黒色の漆という具合に層ができるように塗っていきます。このときにできる層を利用し、削るときの深さによって違う色がでるように調節します。

 

こうして、色鮮やかな模様を浮かび上がらせます。このような手法を紅華緑葉(こうかりょくよう)といいます。一色だけで表現する彫漆があれば、二色以上を活用する彫漆もあるのです。

 

漆を100回塗り重ねたとしても、その厚みは3ミリ程度にしかなりません。このことを考えると、彫漆を行うための準備だけでどれだけの労力が必要か想像できます。

 

なお、漆器の中には彫漆だけでなく、さらに金粉や銀粉を用いて絵を描いたり、漆器を彫った後に色漆を塗りつけたりした作品も見られます。一つの漆器に対して複数の技法を施すことにより、さらに質の高い作品に仕上げようとするのです。


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