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備前焼の特徴:七不思議を探る

 

備前焼

備前焼は岡山県備前市にある伊部(いんべ)で発展しました。

 

備前焼は鎌倉時代(1185~1333年)に成立しましたが、この時代と同じ地域、同じ土、同じ技法で一度も途切れることなく発展してきました。

 

何百年も前から場所や製法が変わっていない焼き物はかなり珍しいといえます。

 

備前の土には、「割れにくく、磨滅しにくい」という特性があります。そのため、備前焼は投げても割れないといわれるほど頑丈でした。

 

また、「水を腐らせず、味を良くする」ともいわれており、普通の花びんに生けた花に比べて、備前焼を使用した花の方が寿命は長くなります。

 

このような性質から、日用雑貨として備前焼は使用されてきました。このような備前焼には、次の七不思議があります。

 

 1. 投げても割れぬ、備前すり鉢
釉薬(ゆうやく)を使わないのが備前焼の特徴です。釉薬とは、陶磁器の表面を覆っているガラスのようなものを指します。これを使っていないため、備前焼は裸の状態のまましっかりと焼き固められます。

 

そのため、他の陶磁器に比べて強度が強いです。ここから、備前焼は「投げても割れない」といわれるようになりました。

 

 2. 冷たいビール、温かいお茶
備前焼は保温性が高いです。釉薬を使ってなく、土を素材のまま焼くことで作り上げるため、備前焼の中には空気がたまっています。これが、周囲へ温度を伝えにくくしています。

 

西洋のコップでは、持ち手があります。しかし、古くから作られている備前焼には持ち手がありません。実際、湯呑みには持ち手がありません。これは、備前焼が熱を通しにくいため、お茶などの熱い液体を注いでも素手で持つことができるために可能なのです。

 

もちろん、冷たいビールを注いだときは、冷えている状態のままで保ってくれます。冷たい物であっても、熱い物であっても備前焼はその温度を保ってくれます。

 

 3. きめ細かな泡で、うまいビール
素材そのものを活かして作られた備前焼の表面はザラザラしています。ここにビールを注ぐと、備前焼の微細な凹凸によってビールの泡がきめ細かくなります。

 

泡の寿命が長くなるため、ビールの香りや風味をそのまま閉じ込めてくれます。こうして、うまいビールが完成します。自分は脇役に徹して主役を活かす備前焼は、相手を美味しくさせる効果も有しているのです。

 

 4. 長時間おくと、うまい酒に
備前焼には、空気が通る微細な通気口が存在します。「水を腐らせず、味を良くする」と備前焼がいわれるのは、ここに理由があります。

 

酒や醤油などを備前焼に注げば、味がいっそう良くなるという特性があります。ワインやウイスキーであっても、香りを一段と引き立てます。

 

 5. 新鮮でうまい料理を食せる
備前焼には料理を引き立てる役割があります。白地の単調な皿であると、料理本体の味を引き出すことができません。一方、色鮮やかな陶芸品に食事を盛ると、今度は美しい装飾が料理の邪魔になります。楽しい食事に、派手な食器は馴染まないのです。

 

それに対して、備前焼は土色の質素な色合いであり、決して自分が主役になることはありません。その独特な雰囲気から食事本来の色合いを引きだし、視覚的に料理の味を上げます。

 

 6. 花瓶の花が長もち
酒や醤油、ワイン、ウイスキーの味や香りを改善することから、備前焼は水をさらに良くする効果があります。これは、花を生けるときであっても同様です。

 

花が生きるためには、良い水が必要です。備前焼は水を生かす働きがあるため、花を長期間生かすことができます。さらに、備前焼がその場に溶け込むことで花自体の色合いを強調させ、全体との調和を図ることも行います。

 

 7. 使うことで、落ち着いた肌ざわり
備前焼は成長していく陶器であるとされています。ザラザラした感触の備前焼ですが、使っていくうちに角が取れて手に馴染んでくるようになります。備前焼自体の艶も増すため、使い込むほど備前焼特有の味わいが出るようになります。

 

そのため、備前焼を棚にしまっていたり観賞用に飾ったりしているだけではもったいないです。生活雑貨として発展してきた備前焼だからこそ、実際に使ってみてようやく、備前焼が生み出す「譲り合い」や「協調」の風味を感じ取れるようになります。

 

このような特徴が、備前焼には知られています。繰り返すと、備前焼には

 

 ・自己を殺して、主を生かす
 ・自己主張せず、調和を図る
 ・水を生かし、酒を生かす
 ・投げても割れないほど固く、使いやすい

 

という特性があります。このような性質が日本人の心に適しているのです。引き立て役に徹する備前焼だからこそ、途絶えることなく発展してきたのだと考えられます。


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ギャラリーしょうざん
備前焼の産地である岡山県伊部で、備前最大のギャラリー。また窯元としての誇りと伝統で、備前焼の展示・販売を行う。

備前焼:ギャラリーしょうざん


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