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備前焼とは何者か

 

備前焼

備前焼とは、岡山県備前市にある伊部(いんべ)の町で主に生産される陶器のことを指します。

 

日本で古くから造られている6つの窯を総称して、日本六古窯(にほんろっこよう)といいます。この中の1つが備前焼です。

 

伊部の町で備前焼がたくさん作られることから、伊部焼といわれることもあります。伊部は備前焼で栄えた町の姿をそのまま残し、現在まで受け継がれています。

 

 釉薬を使わない備前焼
陶磁器の多くは、釉薬(ゆうやく)を使用しています。釉薬とは、陶磁器の表面を覆っているガラスのようなものをいいます。釉薬を使用することで模様を付けたり、水漏れがなく汚れに強い作品に仕上げたりできます。

 

ただ、備前焼は釉薬を使用しません。粘土をこねて器を作った後、そのまま焼き固めます。こうして作られた陶器が備前焼です。

 

備前焼には、土の色を最大限に活かし、自然のままの姿をもった独特の風合いがあります。実際に備前焼を手に取ってみると、ザラザラした荒っぽい感触を感じることでしょう。

 

日本人が食事をするとき、茶碗を手にもって食べます。また、お茶をすするとき、手に直接コップをもって飲みます。決して、持ち手のあるコップは使用しません。そのため、使い込んでいくうちに備前焼は手に馴染んでくるようになります。

 

備前焼はもともと、日用雑貨として誕生した陶器です。そのようなこともあり、手にもつ感覚も楽しみながら食事を楽しむことができます。

 

このような備前焼は、自ら主役になることはありません。土色の陶器であるため、ひたすら脇役に徹します。だからこそ、主役を最大限に活かすことができます。

 

花を生ける場合、その魅力を引き出します。果物を盛る場合でも、備前焼は食材の色を鮮やかにさせます。酒やお茶を注ぐときであっても、自らが表に出ることはありません。

 

もちろん、陶磁器そのものが主役になることは、芸術品としては素晴らしいです。しかし、そうではない未完全の芸術品であるからこそ、備前焼に奥深さを感じることができるのです。相手を補うことで完成し、何となく寂しい感じがすることに備前焼の魅力があります。

 

 使うほど味がでる備前焼
備前焼は高価な陶器ですが、棚の中にしまっているままではいけません。生活の中で何度も使うようにしなければいけません。

 

前述の通り、備前焼は手で触ることを前提に発展してきた陶器です。釉薬を使っていない自然のままで焼いているため、備前焼は長く使用すると艶が増していきます。手触りも良くなるため、「備前焼は使うほど味が出てくる」といわれています。

 

さらに、備前焼にはさまざまな模様があります。これは、焼き固めるときの温度や場所、火の当たり具合などによって異なります。

 

実際に窯から出してみるまで、どのような模様になっているかは分かりません。そのため、まったく同じ模様の備前焼は1つとしてこの世に存在しません。すべてがオリジナルであり、個性をもった作品として世に出回ります。

 

前述の通り、備前焼は自己主張をすることはなく、派手でもありません。ただ、水を生かし、酒の味わいを上げます。また、盛られた食物を引き立てるなど、常に自分を抑えます。さらに、その魅力は使うほど増していきます。そこに、備前焼が多くの人を魅了する理由があります。

 

なお、備前焼は鎌倉時代(1185~1333年)から現在に至るまで、伊部という同じ地域、同じ土、同じ製法で作られてきました。古代から場所や製法が変わっていない陶芸品は珍しく、これも備前焼の特徴であるといえます。


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ギャラリーしょうざん
備前焼の産地である岡山県伊部で、備前最大のギャラリー。また窯元としての誇りと伝統で、備前焼の展示・販売を行う。

備前焼:ギャラリーしょうざん


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